歴史的の浅い言語聴覚士の現状と課題

言語聴覚士は話すことや聞くことなどに障害を抱える人を支援する、大切な役割を担っています。やりがいある仕事である一方で、夢破れて離職や退職をする人も少なくありません。

言語聴覚士の仕事を取り巻く課題として指摘されているのが、職場環境です。言語聴覚士の主な職場は医療機関ですが、医療現場は常に人が不足しています。その中でも言語聴覚士の人員不足が大きな課題となっています。言語聴覚士が国家資格となったのは1997年12月からです。誕生から25年しかたっておらず、絶対数が少ないため、一人で何人もの患者さんを担当することになり、非常に多忙を極めています。

歴史的に浅い職業であるため、ベテラン世代の言語聴覚士が少なく、管理職がほとんどいません。その結果、教育制度やフォロー体制が整備されていない職場も多いのが現状です。少ない人員で多忙を極めるにもかかわらず、現場の苦労がなかなか理解されず孤立感を抱えている言語聴覚士も非常に多いとされています。

職場に年上の言語聴覚士が在籍していないので、新卒で就職した新人が現場の最前線に立たされて立ち往生する例も珍しくありません。理想と現実とのギャップに直面しても、誰からも助けの手が延べられず、退職する新人も多いのです。

しかし、このような課題も、これから歴史を重ねて言語聴覚士の数が増えていけばある程度改善されるのではないかと期待されています。職場内で理学療法士や作業療法士といった他のリハビリ職と連携を強めるなど、孤立しにくい環境を作る取り組みが求められます。